KIRII耐震天井 開発ストーリー 誕生! 地震から
いのちを守る天井

2006年、業界初の天井が誕生しました。
それは地震に立ち向かう力を持つ天井。

きっかけは2001年、広島・愛媛で起きた衝撃的な出来事でした。

最大震度6弱の地震によって甚大な被害が発生。体育施設4棟の天井落下も報告されます。
「これまで施工不良が原因だと考えられてきたが、そもそも構造的な問題ではないか?」
業界の通説を疑うことから、KIRIIの研究開発がスタートしました。

天井は構造的な要素ではないことから、当時は先行研究データも乏しく、ほぼゼロからの手探りの挑戦です。
研究の環境を手作りし、道具を一つひとつ揃えるなど、今では考えられないほどの時間を試験に費やし、来る日も来る日も地道な検証を重ねました。

そうして2006年春 、待望の揺れに強い天井「耐震天井」が完成、その年の秋には販売を開始。
以来、堅実に技術的な裏付けと知見を積み上げ、業界のみなさまの納得と大きな信頼を得てきました。
今では、人が大勢集まる公共施設や旅客ターミナルなどをはじめ、日本全国10,000件以上の建物で力を発揮しています。

KIRII耐震天井は、私たちの安心・安全な暮らしを見守り続けているのです。

ショッキングな出来事から
開発が始まった

2001年芸予地震での天井落下の様子
(出典)『2001年3月4日芸予地震被害調査報告』
※国立研究開発法人 建築研究所より許諾を得て転載しています

2001年、芸予地震で音楽ホールや体育館などの天井が落下、2003年には十勝沖地震で空港ターミナルビルの天井が落下しました。
KIRIIは、当時、4人の開発課メンバーによって天井落下メカニズムの検証を始めました。
その後、2005年8月16日に発生した2005年宮城県沖地震で、新築の総合スポーツ施設の天井が落下し、35人(仙台市の調査報告より)の負傷者が出ます。
この事態を受け、それまでの開発課の取り組みをプロジェクトに進化させ、一刻も早い地震対策の実現に向けて、研究開発を加速させました。
9月4日には、天井落下のメカニズムと今後考えられる対策を文書にまとめ、「天井崩落についての見解」としてホームページで発表しています。

  • 研究開発による技術進化で、必要となる対策が当時と異なることから、今現在は公開していません。
2005年宮城県沖地震で屋内プールの天井がほぼ全体落下した様子
(出典)『スポパーク松森における天井落下事故の調査報告』
※国立研究開発法人 建築研究所より許諾を得て転載しています

天井は繊細、
適切な補強のために実証データを丁寧に積み上げる

天井は(主に1mm以下の)薄い鉄板を加工した部材を組み合わせ、繊細なバランスで構成されており、揺れに強い天井を実現するためには、特性を理解して力の流れを適切に把握し、弱点を一つも作らないことが必要でした。
そのため、補強部材を単純に足し算するだけではなく、各部材にかかる負荷を緻密に検証し、それに耐えるパーツを適所に設置する必要があります。一方で強すぎる部分はパーツを減らしたりサイズを下げたりするなど、最適なバランスを見つけるまでの調整は行きつ戻りつの連続です。
当時、国や大学などの研究機関では、天井の落下メカニズムの解明に関する検証は行われていたものの、天井の地震対策に関する実証データがほとんど無かったため、まずは自分たちで強度実験を行い、一つひとつのデータを積み重ねていきます。

2005年当時、会社内の一部を専用スペースに改修して実験を行っていました

苦労してやっと突きとめた天井に必要な実験方法

地震を再現した振動台実験は、地震時の損傷を再現することが主な目的のため、「壊れるか、壊れないか」は分かるものの、「どの部分が、どれぐらい弱いのか」といった力の流れは解析できません。
そこで構成するあらゆるパーツの静的実験を行い、それぞれどのような挙動を示すのか、基本的な要素の確認をしていきます。

静的実験後に状態を写真撮影している様子

従来の定説と最新の理論を組み合わせた
前例のない発想で検証

当時、天井は明確な耐震基準がない「非構造部材」で、仕上材を張ると見えなくなることから、コストと施工性が優先されていました。また「構造部材」でもないことから建物の専門家からもほとんど注目されておらず、地震対策として認められるためには信頼性の高い理論の構築が不可欠でした。
理論構築には構造解析の知見が必須のため、鹿島建設株式会社で超高層ビルや原子力発電所、大規模橋梁などの耐震設計・振動解析、実構造物振動実験に携わっていた工学博士の小林俊夫を技術顧問として招聘し、さらに検証を進めます。 2006年には、それまでの5人に新たな仲間を加えて開発部が発足し、部署一丸となってプロジェクトを推進するようになります。

実験で天井の状態を確認している様子

小林俊夫の紹介

耐震構造学を構築した武藤清(東京大学名誉教授・工学博士・日本初の超高層建築である霞が関ビルの構造設計者)に師事し、1990年代後半、日本に初めて持ち込まれた「グリッドシステム天井」の耐震化に向けた研究論文を発表した人物です。

いまや業界のスタンダード『V字理論』の構築

天井は地震力を受けると吊り元を中心に左右に揺れます。実際、人が少し押しただけで簡単に動く構造です。そこへ吊り元と天井面の間に斜め部材をV字に配置すると、有効に斜め部材が突っ張り合って天井の揺れを抑えられることが分かりました。この原理を「V字理論」と名付け、今では天井の地震対策に関する業界のスタンダードになっています。

コラム

わかる「V字理論」

耐震天井の肝となるのが、「ブレース」とよばれる補強材です。
これを「V字」型に施工するのには、深い“わけ”があるのです。

詳しくはこちら

業界初の天井の工法化を実現

2006年春、V字理論を活用し、合理的かつ経済的に地震対策ができる方法を結集した「耐震Full Power天井」が完成、その年の秋に業界に先駆けてKIRII耐震天井シリーズの販売を開始しました。

現場に足を運び、納まりのサポートをした物件にて

いのちを守るためにデータ公表

天井の地震対策の必要性と正しい対策を普及させるためには、建築業界全体が共通認識を持つことが必要だと考え、それまで積み上げたデータを社外へ公表しました。論文やカンファレンス、セミナー、Webサイトで情報公開し、建築学会などの専門的な場や国、行政機関、民間の建築関係者、メディアから評価を受ける機会を設けました。 専門家の批評に耐え得るデータだからこそ地震対策として信頼されると考え、今も精度の高い実証実験とデータ公表を続けています。

社外での発表の様子

進化を続ける天井の地震対策 そして普及活動も

その後2011年の東日本大震災では、かつてない規模の甚大な被害が各地で発生し、天井も数多く落下して尊い人命を失う事態にもなりました。
今、大規模地震はいつどこで起きてもおかしくないといわれています。
これまで、対策されていない天井が落下してきたことから、当社は「日本中の天井を耐震化する」ことが社会的使命と考え、様々な活動を行っています。

建物内部の挙動を確認した振動台実験にも協力
多くの方に重要性を知っていただくため出展した展示会の様子

2013年には、国土交通省が施行した基準に業界でいち早く対応させた告示771号対応耐震天井、音響・照明効果が大切なホールに対応する準構造耐震天井をリリースし、今も研究開発を進めています。

さらに建物内部の天井の視点から、いのちを守る、そしてBCP環境の整備が進むことを目指して、社会全体に向けた普及活動を行い、業界での取り組みを牽引し続けています。

天井の視点から備える防災

なゐふるまち

機能維持・事業継続に向けて

地震はいつどこで起きてもおかしくないとされています。
安心で快適な暮らしと企業活動を守るために、まずは“知恵の備蓄”が大切です。 これまであまり知られていない建物内部の防災に焦点を当て、実用情報を発信しています。

準備中